母の命がもうあとわずかと分かった時、
父が言いました。
“先生何か食べさせてやってもらえませんか。
ずっと食べるのを我慢してきたから、
最後にお腹いっぱいにしてあげたい。”
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父のやることは、いつも愛で満ちていました。
私たち姉妹だけにでなく、
親戚の人にも、
会社の人にも、
近所の人にも、
動物にも、
そして花や虫に対しても。
そんな父の体に異変が起きたのは、
母が亡くなって数ヶ月後のことです。
誰にでも、いつか別れは来ますが、
その”時”が確実に来るとわかり、
それがいつ来るのかと思うと、
毎日が恐怖でした。
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9年前の今日、その”時”が来ました。
泣いて泣いて泣きました。
そしてこの悲しみが癒えることがあるのか
と思うくらい、
ずっと悲しみの中に私はいました。
4年経って、
緩和ケアの第一人者である
内科医の内藤いづみ先生の講演と、
歌手の小林啓子さんの歌を聞く機会があり、
会場で号泣してしまいました。
気づいたのです。
私がどれほど両親から愛されていたかに。
私は、2人を失った悲しみが大きすぎて、
悲しみばかり見ていて
受け取った愛を見ていませんでした。
ようやく、
「愛をつないでいく人間になろう」
と思えました。
お父さん、お母さん、
2人の子どもで私はとても幸せでした。
ありがとう💖